インハウスウェブ担当者向け「In-house SEO Meetup」に初参加してきました。
私自身はインハウス担当者ではないですが先日のIn-house SEO Meetup登壇者枠で参加させていただきました。面白かった…!!
今回運営側のご厚意で「レポート公開してもいいよ」といただきましたので、公開できる範囲で公開します。
(関係者の皆様、原稿をご確認いただきありがとうございます)
これを見て「参加してみたいな」と思っていただける方が増えれば幸いです。
(はじめに)「In-house SEO Meetup」について
目的
1.SEOとSEO実践者の社内価値向上
2.正しいSEOを積極的に行う企業の増加
3.サーチマーケティング業界の盛り上げ
コンテンツ
1.ネットワーキング
2.有志によるLT(Lightning Talk)
3.業界著名人の講演
・運営の公式ブログ
Tokyo Search Professionals – SEOだけに縛られない、「検索」担当者のためのサイト。
・イベントページ(Facebookページ) ※参加表明はこちらから
In-house SEO Meetup
The 16th In-house SEO Meetup sponsored by Crossfinity 内容
・クロスフィニティ・松野亘さん「Contents is king」に求められるSEOとの向き合い方
・【基調LT】木村賢さん(サイバーエージェント)「まだAmebaのSEOで消耗してるの」
・今井良佑さん(じげん)「botアクセスログを活用したインデックス最適化」
・高瀬邦明さん(オールコネクト)「33歳で新卒のSEO担当者から見たSEOの世界」
・松山弘毅さん(一休.com)「ここのサイトに勝てないと諦めてはいけない」
・平野雅也さん(Retty)「今問われるLearning体制」
・平山知宏さん(Tunnel)「構造なきCGMの構造的SEO」
・宮田顕弘さん(楽天)「日本のSEOスキルは世界に通用するか?-楽天グローバルの現状-」
クロスフィニティ「Contents is king」に求められるSEOとの向き合い方(松野亘)
リンクは重要なランキングシグナル
▼「バックリンクはまだ価値がある」
人工リンクはNG
だがリンク自体は引き続き重要
良質なリンクを獲得することが重要
▼海外でのリンクビルディング事情
海外のカンファレンスにおいては語られる
▼ブライアンディーン(リンクビルダー)
手法
・スカイスクレーパーテクニック
(Point)
リンクを貼るに値する記事を探す(リンクを多く獲得している競合サイトを探す)
その記事より良いものを作成する
リンクを貼っていたユーザーにアプローチをしてリンクを獲得する
・ブロークンリンクビルディング
「◯◯業界」「◯◯会社おすすめ」等で検索しヒットする有望なサイトを探す
そのサイト内のブロークンリンクを探すンツを作る
自分のサイトにリンクを貼ってくれる可能性が高いサイトを発見する
ここリンク切れてますよと報告して「ちなみに私もそういうサービスをやっています」と紹介してもらう
・リンクリクラメーション
自社サイトに言及してくれているがリンクを貼っていないサイトを特定する
お礼とともにリンクがないことを指摘する
リンクを張ったほうがユーザーに有益と示唆する
P:リンクを貰いたいターゲットの設定
D:リンク獲得のためのコンテンツを作成
C:獲得したリンクの分析・評価
A:リスト化してコンタクトをとる(コンテンツを作った際に報告する)
→地道にリンクが溜まっていく。
※意外に身近なユーザーにいたりする(フランチャイズなど)
▼自分のサイトのリンクと向き合う
※その際に他社のリンクも分析する。自社とのギャップにヒントがある。
集まったリンクは大切な資産
リンクの先にいるユーザーと継続的な関係を築いていく
コンテンツは作っただけではSEOパフォーマンスは最大化しない
コンテンツを考える際、地道なリンク構築をする
【基調LT】木村賢さん(サイバーエージェント)「まだAmebaのSEOで消耗してるの」
・インハウスへの転向は簡単ではない
→組織を動かしたり人を動かしたりする能力が必要
→結果も全て自己責任
→孤立
→仲間を集める(ラボの研究者やエンジニア)
→京大で研究した結果を共有したりして仲良くなる
→Googleの話をして興味を持ってもらう
・人から技術へ
機械学習や自然言語処理の多用
アルゴリズム分析(どういうリンクネットワークをするとスパムになるか)
CGMスパムフィルター(機械学習を使って構築)
インデックスの精査(クローラーの情報を見てあまりにも来ないものは思い切ってnoindex設定。独自内容の少ないものをnoindexにしたら伸びた。大胆に行ったら伸びた)
注力すべきコンテンツ分析をする
・Googleの推奨していることは全て対応できるようにする
App Indexing
App Indexing API
Now
AMP
Googleのポリシーに従うことを全社的に確認
RankBrainなどの問題があるので、今後はUXを重視する
(機械学習と自然言語処理でアプローチしたい)
(補足)
不要ページの削除はやり方間違えたら死にます。
悪いページのせいで良いページがトラフィックないって可能性もあるので、きちんと精査する必要があります。決断は思い切りよく、ただ分析と作業は慎重に。(すいません。偉そうで。)
#inhouseseo
— 木村賢(Satoshi Kimura) (@kimuyan) 2015, 12月 11
参照:Ameba (アメーバ)|ブログ&ゲーム 1万人以上の芸能人ブログや定番アメーバピグで遊ぼう♪
今井良佑さん(じげん)「botアクセスログを活用したインデックス最適化」
看護師求人EXの事例
なぜ今bot解析なのか?
パンダアップデート:低品質なサイトページは評価しない
↓
不要な(質の低い)ページは削るべし!
(noindexあるいは410で対処)
↓
ここで産まれた疑問
インデックスから上手く削除されたのだろうか。Botは意図したアクセスをしているのか?
↓
Botアクセスログ解析
1.BigQuery:アクセスログを格納する場所
2.embulk:アクセスログデータを格納するツール
マーケターをSQLさえ叩くことができればアクセスログ解析などが可能に。
・実際に調査したもの
410を返したものをいつまでアクセスするのか
1ヶ月目:100
2ヶ月目:5
3ヶ月目:0.6
→おおよそ1ヶ月で不要なサイトマップを送らないで済むようになる
サーチコンソールのインデックスページは減少
→表示回数は1.7倍に。
インデックスを消す意思決定は?
→CVしないようなページを作っても無駄という考え。自分が意思決定者なので出来た。
CV・トラフィック等を参照。
高瀬邦明さん(オールコネクト)「33歳で新卒のSEO担当者から見たSEOの世界」
ウェブマーケティング事業部で広告担当20人、SEO担当1人
モバナビの事例
2014年2月〜12月
急落と伸びないが繰り返されている(ページ数5000ページ位)
改善したこと
・TOPページ意外がAjaxでURLが変わってしまう:URL正規化
・canonicalがすべてトップ:再設定
・h1タグ不在:開発部と和解
・重複ページの自動生成:開発部と和解
2015年1月から前年比700%アップ
学んだこと
制作担当者とSEO担当者の間には壁がある:コミュニケーション頑張る
「まだ1位じゃないの?」:話せばわかるように頑張る
・知識の共有
・結果を示す
・集客チャネルとしての価値と売上貢献への数字を算出する
・後発のSEOではなく上流工程から入る
松山弘毅さん(一休.com)「ここのサイトに勝てないと諦めてはいけない」
一休.comの事例
あのアップデートで順位が落ちた!
→SEOチームを結成:2名のみ
→色々やったら「ホテル」のキーワードが全圏外
気を取り直してやったこと
・競合サイトの分析:パラメーター付きのURL対策
・サイトの見直し:URL・テキスト・canonicalの見直し
・ソースコードの改善:js,divなどの整理
・その他いろいろ:不要ページの削除・ターゲットページを決めSEO改善テスト
→実施したら元の順位まで戻った
「ホテルページの順位をまだ上げたい」
ホテルページの問題点:デザイナーが個別に作っていたので作る人によってバラバラ
→ガイドラインを決めて一定の情報量を保つように半自動化でリニューアル
→やっと上位と争えるページになりました!(追う側のSEOは楽しい)
A/Bテストは2〜3ページ目にあるものを中心にやっていた。
平野雅也さん(Retty)「今問われるLearning体制」
「Rettyのやり方」
猛スピードで回すSEO
PDCAサイクルを回す体制
なぜこのテーマ?
2014年後期からユーザー数が伸びない…
→詰められる
→チームは険悪ムードに
→問題点の洗い出しを開始
特有の効果測定の難しさからPDCAが回っていない
PDCAが回っていないので意思決定が属人的になっていた
やり方を一気に変えた
→Learning体制を作った。
実際のLearning体制
・施策月間15個
・データの見える化
・Team-Learningの仕組みづくり
(詳細)
・施策月間15個
(1)ターゲットの選定/似ているページを選ぶ。できるだけ口コミの件数が多いところを選ぶ
(2)施策の管理。オリジナルの施策を実施し管理画面で管理
(3)開発体制:プランナー10名、エンジニア10名、アルバイト5名
・データの見える化
(1)データの一元化。データを管理画面で集約。
(2)Googlebotのアクセス数。様々な切り口で細かく見る。
・Team-Learningの仕組みづくり
(1)週3回のLearningMTG
メンバー全員で数値チェック
結果に対してディスカッション
NextActionの決定
(2)数時間おきにSlackで数値通知:数値感がつく
(3)毎朝みんなでCheck:絶対忘れない効果検証日
まず1週間後、次に15日後、1ヶ月後
→優位性を見ていく。
平山知宏さん(Tunnel)「構造なきCGMの構造的SEO」
RoomClip:部屋の写真をアップするサービス「日常の創造性を応援する」
誰かの工夫って誰かの為にきっとなりますよね
画像投稿サービスなのでSEO的には弱い
SEO資産:フリータグ・フリーコメント
タグ:ユーザーが勝手に作れる。
◎タグ数がどんどん増えていって全く新しいジャンルが産まれる。
(例:男前インテリア→Googleトレンドで伸びた)
×構造化などが難しい。著名なECでもカテゴライズ基準はバラバラ
(Amazon・楽天・イケア)
×サイト構造上宙ぶらりんになるタグ(膨れ上がるインデックス・・・)
・教師なしのタクソノミーのスモールスタンダード
対策(1)有限領域の広報的関連付け:決して深追いしないこと・有限領域のみで行うこと。概念的なものを切り捨てる。
対策(2)無限領域の「就職的関連付け」
対策(3)パワーの関係を定義してカテゴリ構造を分ける
(イケアとニトリ→Google的にどっちが強いのかを定義する)
・類似タグは辞書を作って処理「ikea」「イケア」→/ikea/に統一
宮田顕弘さん(楽天)「日本のSEOスキルは世界に通用するか?-楽天グローバルの現状-」
・はじめに
編成部SEOチームは楽天グループ全体のSEOを統括するグループ横断組織。
横断組織としてインハウスSEOチームに求められるものは?
攻めるSEOと守るSEOの両方の要素が求められる
・楽天ではグローバル化が加速
12カ国で展開
・グローバル展開の中、実際に海外へ
カナダの電子書籍のKobo社へ1ヶ月限定(2015年6月)で訪問サポート
・海外で働いて気付いたこと
組織構造が日本と違う:KPIに合わせたようなプロジェクト単位の組織構造
勤務時間が日本と比べ違う:10時位に来て16-17時には帰る。ただし、家族との時間を過ごした後に、家に持ち帰った仕事をすることが多い
明るい時間が長い:サマータイムが導入されていることももあり、21時過ぎまで明るい
幸福レベルが日本と質が違う:仕事とプライベートを意識し区別していて、プライベートが充実
・実際のSEOの業務は?
サイトオーディットと課題整理:1ヶ月限定の訪問サポートだったため、事前に日本側で実施
現地のSEO担当とスキルレベルの情報交換:現地の担当はインハウスとしてのSEOの経験が8年、日本のスキルレベルとそんなに変わらない
現地社長との調整:SEOの重要性が社内で認識されてなかった。他の楽天グループのSEOの状況を比較し、重要性について認識してもらう
各担当との調整:開発担当、プロダクト担当と頻繁に会議を行い、改善に向けたプランニングを一緒に検討。エンジニア40人に対してSEOの勉強会も開催。
・支援結果
最重要KPIが短期間で大幅に改善
・結論
SEOの重要性を経営層が理解しなければSEOのプライオリティは必然と低くなる。それは日本でも海外でも状況は同じ。
キーワードリサーチは言語によるクエリパターンの違いがあるが、それを日本人が行うことは大変難しい。それ以外のテクニカル要素は日本と海外と比較して、レベル感や最新のトピックなどに大きな違いは無い。インハウスSEOには国境はないことを実感。
感想
初参加でしたが各社の視点が面白く、非常に刺激になりました。
インハウス担当者の方でまだ参加していない人はぜひ!
・イベントページ(Facebookページ) ※参加表明はこちらから
In-house SEO Meetup
次回は3月開催予定。