search-summit-2014

去年から開始した検索の祭典「Search Summit」。
今年は参加しながらリアルタイムでその内容を更新してみたいと思います。

公式サイト:Search Summit 2014-11月11日サーチサミット2014開催 | Search Summit 2014(公式サイトはなくなりました)

プレゼン資料(合わせて見ていただくと分かりやすいかもしれません)
Search Summit 2014プレゼンテーション資料

 

プログラムの内容

1.Opening Keynote リスティング男子という生き方(阿部圭司/高橋勇太/治田耕太郎)
2.SEM and Technology(山崎大輔/吉本悠介/渡辺統一郎/治田耕太郎)
3.インハウスリスティング運用最前線(田中充/岩崎亮/篠﨑晃宏/阿部圭司)
4.PPC and Agency(金塚尚樹/芝野徹也/坂萩馨/杓谷匠/岡田吉弘)
5.Paid Search and SEO 〜並び立つふたつの世界と、相互理解/相乗作用の可能性(岩崎亮/小林圭介/辻正浩/三澤直哉/渡辺隆広/河田顕治)
6.SEOテクニカルセッション(辻正浩/日西愛)
7.SEOパネルディスカッション いま SEO担当者が注力すべき仕事(伊東周晃/土居健太郎/三澤直哉/渡辺隆広)
8.クロージングセッション(渡辺隆広)


 

1.Opening Keynote リスティング男子という生き方(阿部圭司/高橋勇太/治田耕太郎)

・リスティング運用者はレア
ー需要はそれなりにある×経験者が少ない(希少価値がある)

・業界の歴史は10年弱
ー業種・業界によってはそれなりな認知も。

「リスティング運用者」として生きてきた方の経験者を生々しく語ってもらう。
(1運用者から社長になった人の話)

・リスティング広告との馴れ初めは?
阿「前職のリスティング運用者が辞めてぶん投げられた。情報が全然なかった。」
 「当時のOvertureに電話してそのまま聞くのではなく自分で検証もする」
高「リスティングを売る営業をやる。四季報を片っ端から見て掛けていた」

・リスティング運用を辞めたいと思ったことがある?
→二人とも「なし」
阿「地域配信の表示がされない。詰められる。Google、Yahoo!の人間が出てきたら納得された時の無力感があった(時にちょっとだけ辞めたいと思った)」
高「辞めようと思ったわけではなくシビレたことはある。朝4時までYahoo!のレポートを作った時など…」
 「マネージャーの時にメンバーが倒れた時なども別の意味でシビレた」

・リスティング運用業務の中で役に立った経験や特技などはありますか?
高「買い物が上手になる」
阿「趣味が投資だったので、ポートフォリオを組むという意味では役に立つ。面接でも株をやったことがあるかは聞く」
 「日本全国の地域に詳しくなった」

・リスティング運用チーム作りで一番心がけていること
阿「面白いという機会を与えること。キーワードの裏側の心理を読み続けること。それをリターンとしてお客様に提供できること」
  (どのように教えているのかという質問に対して)「具体的に考えさせること。発想の転換の部分を助けてあげること」
高「組織論と機能論をバランスよく考えること。本人の得意なこと、できることを考えてあげること」
 (どのように教えているのかという質問に対して)「情報共有をすること」

(メンバーの動きをどう見るか)
阿「定点観測をして全体観を見る」

(中間層を育てるのに心がけていること)
高「走攻守ができるリーダーが必要。新しいプロダクトに挑戦する人をリーダーにする」

(業務の平準化とスタッフの個性をどうするか)
阿「去年は属人性を排除することを考えていたが、今は平準化ではなく突き抜けることの方が大事だと考える」
 「一人のインフルエンサーを他の人間が引き継ぐ」
高「のびのびやってもらっている。ただし、機械で出来る部分は簡単にできるようにする」

・リスティング男子ってモテると思う?
→ふたりとも「◯」

・会場の皆様へ一言
高「広告手法は鈍化しているかもしれないが物を探す行為はなくならない(プラットフォームは変わるかも)。デジタルマーケティングの中でそういったところを探すのは役に立つのではないか」
阿「テクノロジーについていけないと生きていけない。どの人も必要になってくる能力。テクノロジーに指示できるようになればまだまだ面白い業界なのでは」


 

2.SEM and Technology(山崎大輔/吉本悠介/渡辺統一郎/治田耕太郎)

検索連動型広告のプラットフォームは様々なものの恩恵を受けて進化してきている。

「媒体の運用以外」の視点

 
1.リスティング広告の運用ツール

・「運用ツール」というテクノロジーを導入するメリットとデメリット
・良い使い方と悪い使い方

メリット:
キーワード数・アカウント数が多く運用の手間がかかるものなどを短い期間で意思決定ができることがメリット。最短で実現ができる。2〜3時間の作業が30分でできるようなシーンも。

デメリット:
細かくケアするキーワードについては必要性が薄い。成功を次の入札に活かす必要があるので、最終的な成果をどう読み取るかは自動入札ツールでは難しくなる。

(ツール間の運用効率化は異なる?)
ツールがフォーカスしている範囲によって異なる。

(DSPの効率化)
自動化を進めていく方向性と手動でチューニングできる余地を残す。
アルゴリズムで判別できないファクターも重要。単純にツールを使えばいいという話ではない。

(失敗するケース)
ひとつは自分の運用のあり方をツールに合わせようとしてしまうケース。ツールを入れたからツールを100%使いきらなくてはいけないという視点。ツールに引っ張られてしまうケース。
もうひとつは自分の運用がカッチリあるためにツールのカスタマイズできない部分に着目してしまい、ツールを使わないというケース。

(非エンジニアの人について)
今までと異なり、マーケターの側にツールが回った。少なくともhtmlは分かっていてほしい。
その他Cookie/Cookie Syncに関しての知識もあったら良い。

 
2.GDN/YDN/DSPとリスティング広告

・GDN/YDN/DSP
・リスティング広告のプラットフォームと運用型ディスプレイ広告の共通点・相違点

(DSPとは)
色々な広告を一元的に買い付けられる仕組み。
複数のアドネットワークを一元配信管理できる。

GDN/YDNは持っていない面もある。

(リスティング男子時代とDSP男子時代はどっちがモテたか?)
世間的にはリスティング男子の方がモテる。

(スキルについて)
リスティング広告をやるとPDCAのサイクルで考えることが身につく。
それがGDNだったりDSPにつながっていく。指標が変わっただけではないか。

 
3.自動最適化

・自動最適化機能とか自動最適化ツールってどうなの?
・媒体提供の自動最適化と3rd party製の自動最適化の違いって?

媒体側に自動最適化が付いているものは増えている。ただし媒体側は間にどの広告が挟まれていても関係ない。
Googleのダイナミックリマーケティングが今後どういう動きをしていくか。
Google上では良くなっているものの3rd party製ツールだと良くなっていないみたいなツール間データが異なるケースも。

ラストクリックにリタゲ・リマケが効くと言われているものの実は絡んでいないケースも多い。

手チューニングの方が効果が高いことも多いが、それを実際にやろうとすると手間が非常に大きくなる。
ただ、ある予算を保って配信することがマーケターの仕事ではなく、広告を介してユーザーとのコミュニケーションを取るところが重要。

ポートフォリオ入札は自分たちの予算を配分するためのツール。
どのユーザーに対してどの広告を当てるかなどのターゲティングを絞っていくのが重要だがとても難しい。ただ、その能力をつけていくことがスキルになっていくのではないか。


 

3.インハウスリスティング運用最前線(田中充/岩崎亮/篠﨑晃宏/阿部圭司)

・現在のチームの役割・ミッションは?
岩「売上が未達の場合に達成しようとした場合、メディア事業の場合は広告事業だけが達成できる」
田「細かくROIを突き詰めていく。業界No1を取りたい。いかにスケールするかを考える。代理店の運用では出せない付加価値を出す」
篠「リスティングだけではなくデータ分析なども行う」

・どうして代理店ではなくインハウスなのでしょうか?
篠「自社にノウハウが溜まっていくことがメリット」
田「コスト面。代理店に任せると手数料が掛かってしまう。ノウハウの蓄積。新規事業を実施する際に精度の高いシミュレーションが出てくる。方法の一つとして代理店に任せるのはあり」
岩「どれだけ良いメディアを作っても集客がなければ売上が0。内に置くことと外に置くことを明確に線引をする。代理店については任せるというよりも協力してもらって一緒に作っていくような部分、情報の収集などで協力してもらうのはアリではないか」
阿「インハウスだと情報が小さくなってくるのでその辺で協力してもらうのは良さそう」
田「情報のキャッチアップをするために外に出るなどをしていっているものの、外の世界を見てしまうと人材の流出にもつながるw」

・インハウスに必要不可欠な3要素

1.賛同
2.信頼
3.モチベーション
(↑阿部さんの考えるもの)

他にインハウスに不可欠な要素を教えて下さい。

岩「素直さは必要。総務部から移ってきた女性で元々オフラインだったものの今では色々なことができるようになっている。難易度は敢えて教えない。代理店だと周囲に色々な人がいるので自分の負荷具合がわかるが周囲に人がいないのでその水準が当たり前になってくる」
田「モチベーションが一番大事。会社の中で予算縮小が起こった場合、正社員の仕事がなくなる。自分自身で仕事を作っていかなくてはいけない。P/Lに現れない部分を表明し信頼を得ること」
篠「いかにスタッフを管理するかを考えている。あやふやに指示を出すと結果、双方が不幸になる。どれくらい明確に指示が出せるのか。また期限の確認も明確にすること」

(経営者視点はどのように身につくのか?)
岩「元々予算を取ってくるという感覚はなかった。ただ利益率を圧縮するのは自分たちの仕事、というのと、ボーナスにも関与をすることが影響しているのかも」
田「予算を取ってくる感覚が同じくない。ただ、予算を増やしたいという感覚はあって、増やすために何ができるのかを考えている」
篠「同じくCPAがある限りは青天井」

・チーム作りで一番大切にしていることを教えてください

岩「コミュニケーション。違う事業部ではやっているものの自分のところではやっていないみたいなことがある場合、横のコミュニケーションを大事にする。朝会・夕会などでメンバーの質問を受ける、情報の共有などもする。昨日やったこと、今日やることを朝会で共有」
田「ベンチャーマインドを大事にしている。チャレンジできる環境をメンバーに与えられるかどうかが重要。ただ、チャレンジは失敗が付きもの。失敗しても再度チャレンジが許される環境づくり。負のスパイラルに陥らないように気をつける」
篠「やってみないとわからないといったようなことが多いので「まずはやる」ということを大事にする。環境づくりが重要」
岩「CPAは量につながる指標。ただ質を追わないと意味がない。程よくブレーキが必要なものの質を追うこと」

・「SEARCH」の役割とこれからをどう思われますか?

篠「リスティングからの集客が大部分なので重要。一方で人工知能などが出てくるとサーチはどうなるのか?という不安も。サーチ以外の部分でどう集客できるのかを考えていきたい」
田「おっさんになって引退するぐらいまではサーチは続くのではないか? 引き続き重要なのでそこを知っているメンバーを育てていく」
阿「CPAベースで見るとfacebookアドやIndeedなどには勝てないもののそもそも役割が違うのでそこは考慮が必要」
田「決定モデルのROIを見るとリスティングの成約率が高かったりする。検索エンジンでキャッチアップすることが重要」
岩「Indeedとサーチの大きな違いとして、Indeedの場合はユーザーの意思がわからないということ。そこが分かるのがサーチの価値なのではないか。クエリから逆引きでペルソナ像を作れるのがサーチの良さ」

・(会場の質問)「上司の側として判断ミス、情報伝達の遅れを気づきやすくする工夫はありますか?」

岩「チャレンジする以上は失敗も生まれるのでそこも包含して見てもらえるようにする」
田「全部見るのは無理なのである程度メンバーに信頼をおいて任せる。成熟度も確認していく」
篠「メンバーひとりひとりを完全に見ることは難しいのでどういう組織を作っていくのがいいのかを考えていく」

・(会場の質問)「女性スタッフにどのように伝えたらいいのか?」

岩「人生の優先順位を見て業務の負荷を決める。それらを週に1回は伝える。男女間のすれ違いはあるものの、それをそのままにしないこと。コミュニケーションをきちんと取る」
阿「過去にチャットで全て済ませようとしていたが特定の件に関しては、それを止めた。チャットは感情が乗らない」
田「例えばキーワードの裏側の心理を読むといったようなことは女性のほうが得意なのではないか?」

・これからインハウスになる、今インハウスでしんどいという人に向けてのアドバイス

岩「成果を出していくために事業視点で見ていかなくてはいけない。辛くもあるものの自分の身になるのと成果が出た時のリターンは大きい」
田「インハウスの必要性があるかどうかを検討、必要ならば上長・経営層とコンセンサスを取る。片手間ではできることではない」
篠「コミットに対して成果を出すというのはどこでも重要な話。コミットに対してやることをひたすらやるということが大事」


 

4.PPC and Agency(金塚尚樹/芝野徹也/坂萩馨/杓谷匠/岡田吉弘)

・代理店が提供できる価値とは

金「金で買えるリソースが代理店の本質ではないか。必要なときに必要なプレーヤーを持ってこれる」
芝「同じことをやるのであればインハウスにメリットはないのでは。コストメリットはあるが…」
坂「エンドユーザーの視点を持てることが代理店の強み。1ユーザーが関わっている部分で言うと代理店に強みがある」
杓「広告主側から見ると代理店に物足りない部分もある。ただし、インハウスでは把握できない部分があるのでそういった部分では需要があるのでは」

岡「多様性がないと代理店の価値は低いのではないか?」
杓「価値が低い、というよりもマーケティングの視野を超えたところでの提案がほしい」

金「クライアント側に資金などがあるのであればインハウスでやった方が健全ではある。ただ10万円と1000万円のクライアントで10万円のクライアントに2万円分の価値しか提供できないのかというとそういうわけでもない」
芝「多くの人間が真剣にそのビジネスに関わっていること、チーム戦でやっているところが代理店の強み。スーパーマンじゃなくてもできる運用」
坂「バリューがあれば広がっていくので長い目で見ていることが多い。どこかでペイをできるようにする」

・新たな脅威との差別化について

金「インハウスでクライアント自身が運用するケースも、DSPに行く場合もあるものの、誰でも出来る部分については差別化要因にはならない。そこはなくなっていくのが前提。差別化要因は価値を出していくコンサルティングの部分」

岡「人間がやらなくていい部分は自動化されるにしても、人間が行う部分で差別化をするとなると人間がやらなくてはいけない部分が増えるのではないか」

芝「事業主に分析できる人がいないとDSPはものすごく便利なツールに見える」

・検索の可能性×仕事の仕方

PLA(商品リスト広告)の売上が上昇していることについて。テキストの重要性は減った?

坂「ストラクチャーは変わってきている。ただ、まず検索結果を見てみることを勧める。商品によってはまだ探しづらい。そう考えるとPLAに寄せる必要がないのではないか」
芝「テクノロジーの変化によってプレーヤーのスキルセットは変わってきている」
金「ユーザーに提供する考えの本質や頭の使い方は変わっていないのではないか」

芝「自己完結できないところは分業していくのか」
金「できれば自分で完結したいものの、難しいケースもやはりあるので無理なものは諦める」

(クライアントとのすり合わせ、情報開示など)

金「基本的には開示してほしい旨を伝える」
芝「いろいろと依頼している間に開示してくれることもある」
坂「見せてほしいことは伝える。ケーススタディの共有などは実施する」

岡「伸びているマーケットに対して人がいないということはあるので、そこで代理店の出番が来るのではないか」

 
(会場からの質問)
「2年後、3年後の代理店。ヒト・モノ・カネでどういうところを変えていかなくてはいけないと考えるか」

芝「ヒトの要素が一番重要。テクノロジーもプラットフォームも進化している。進化するのが前提なので自分たち自身の進化していくこと。そうでないと戦えない。人材が成長できるようにしていく。知的好奇心を持てる人が人物像としては良いのでは」
金「フリークアウトがカッコイイ→DSPがカッコイイといったようなイケてる感は重要」
坂「検索広告のように知りたいことに直結できる広告は他にない。もうちょっとシンプルにエンドが欲しい情報にアクセスできるような状況にしてあげる方がいいのではないか」


 

5.Paid Search and SEO 〜並び立つふたつの世界と、相互理解/相乗作用の可能性(岩崎亮/小林圭介/辻正浩/三澤直哉/渡辺隆広/河田顕治)

・かつてのSEM(2006年前後)
両者をともに理解することに一定のメリット必然性があった。
→検索キーワード(掲載場所・ある種の相互補完性)

・現在のSEM(2014年)
なすべきこと/優先事項の変化
→両者を理解することに何のメリットが?
Paid Search:
フォーマットの多様化、掲載場所の確認、各種オプションの登場

SEO:
検索エンジンの進化、キーワード一辺倒からの脱却/ユーザーの態度変容に合わせた情報提供へ
「コンテンツマーケティング」

***

Q1「SEOの激変によって何が起きたか?」

辻「SEOでやることが大きく変わった。人工リンク周りが非常に使いにくくなった。このワードで絶対上げるという勝負、キーワード単位の勝負が難しくなった。SEOで取り扱う範囲が非常に広くなっていった。キーワードベースで考えるとリスティングとは大きく異なっていっている」

三「インハウス側からすると守りのSEO、リンクパトロールをすること。意図しないところでGoogleにさされないようにする」

辻「リスティングとは元々分かり合えるところがなかったw 野球でいうところのピッチャーとバッターのようなもの。今やサッカーとカバディのような違い」

Q2「広告運用において新しいテクノロジーに対応する中での変化は?」

岩「今までサイトの中をそこまで深く見ることはなかった。今は例えばタグマネージャーを見る際には見なくてはならない」

小「SEOにどういう影響を及ぼすかを検討しなくてはいけない時代。特にタグを入れるという部分などで表示が遅くなったなど…」

渡「コンテンツという切り口を接点にSEOと広告でお互いの共通言語となる部分が再び出てくるのではないか」

岩「SEOはページがないとどんな検索で打っても引っかからない。広告はどんなクエリであっても出稿すれば拾える。SEOだとtitleのABテストは難しいがリスティングだと時間が早めに対応できるのではないか」

小「運用型広告の中ではSEOは軽視されている気はする」

三「(リクルートのメディアの中で上手くやれている事例は?)それぞれの担当がそれぞれのマーケ担当と目標を合わせながら連携するもののそれぞれの施策に落としていく」

河「辻さんがウズウズしていますが大丈夫ですか?」

辻「リスティングをやってもキーワードデータを取るためだけに連携することもあるし、コンテンツへの導線を設計するために協力することもある。ただ、リスティングと協力するよりも広報と協力するほうがいいのではないかとは感じる」

渡「リスティング広告とSEOをどうやって連動させるのがいいのかを聞かれて、実際に連動させるかといえば実はやっていないのではないか。SEOの範囲の中でできることがたくさんある中で手が回せていないのが現実では?」

河「どんどん『分かり合えない』という流れになってきている」

三「SEOの価値はPaidの価値を下げてなんぼじゃないのかと言われ、試みたことがあるがあまりうまく行かず1年ほどでプロジェクトをやめた」

岩「昔は組むことで結果がついてきた。また未来は関わることになるのではないか」

Q3.両者の相乗効果/補完は今でもあり得る?

渡「広告の担当者でもオーガニックの検索は見るべきだし、逆にオーガニックだからといって自然検索だけを見ていればいいというわけではない。技術的な面を完全に把握するのは難しいが最低限検索結果の面を見ることは教える」

辻「SEOではこの部分で取れない、というところをリスティングで取る、みたいなことをやっているところもあるし理想ではあるがそこまで出来ているところは1社しか知らない」

渡「季節的な部分で獲得のシミュレーションを出すことはできるが、そこまでやっているところはやはりないのではないか」

河「インハウスだからこそそれらができるというのもあるか?」

辻「それもあるし、担当者がスーパー担当者だというところもある。リスティングでかかるコストとSEOでかかるコストとを自分の中できちんと理解している人だからこそができること。両方を理解している人はいないはず」

Q4.これからの”SEM”?

河「あえて検索にフォーカスすることによってどんなことが考えられるか」

岩「入社した時はオーガニック流入が99%だったが、それはGoogle依存で危険な状態。今は40%と40%くらいの割合で残りがソーシャルのような感じ。ユーザーに聞いてみたところ6割位は広告とオーガニックの違いが分かっていなかった。ユーザーにとっては違いがないようなもの。ユーザー視点で考えて行けるようになると良い」

三「外せないキーワードはSEOと広告両方張っておくのか」

岩「CVが生まれている→こういうキーワードで検索している→オーディエンスごとにLPOする/見せ方を変えていくなどは実施する」

三「担当者が『お客様の顔が見えているか』というのはできていないことが多い。何かをしてお客様にたいして最適化していくということに同意」

河「まだユーザーのニーズを掴むのはサーチなのではないか」

小「入社した時に『SEMはリスティングではない』と言われた。検索ユーザーの裏側にある気持ちなどを汲み取ってあげられることが大事。そのキーワードを『買う』ではなく『どうやってユーザーにアプローチしていくのか』を考える」

河「最終的に重要なのは検索の向こう側にいるユーザーではないか」

渡「マンションのような買い物をしようとした際に検索した際にすぐ買い物はしない。色々調べているうちに全然別の検索を始めたりもする。ユーザーの心理を読むことは大事。コンテンツは現段階では、空白に文字だけを埋めたものになっており、リンクを買うからテキストを買うになっただけ。ただ2〜3年後はユーザーのニーズ・インサイトを見込んだものが重視されていく」

(会場からの質問)
「リスティングを外部に委託することになっているのだが、サイト制作者・SEO担当者からリスティング担当者に対してどのようなデータを渡すと良いか」

小「アナリティクスの情報は重要。離脱している部分、将来的にCVするキーページ、滞在時間、動いた粒度などのデータをもらえると参考になるのではないか」

岩「委託先の人はおそらくサイトのことを詳しくないので、ペルソナ像などのデータを渡すとリスティングに活用できるのでは」


 

6.SEOテクニカルセッション(辻正浩/日西愛)

SEOはコンテンツが重要。
→×良いコンテンツがあればSEOは不要

技術的アプローチ
→SEOの「銀の弾丸」になり得る。

 
・末端ページのSEO

顔面ローラーの記事
最大で14万強/日流入

・辻さんとできているのではないか?
→別の人と結婚

・辻さんのワークバランス
「SEO」99%
「艦これ」1%

 
(本題)
・サイトは末端ページが一番多い
→一つの施策の効果範囲が広い
→テールキーワードなので難易度が優しい
→結果が出やすい施策をできる(実施対効果がすごく出やすい)

ページ数を増やす施策は勧めない。
ページ数を増やさずに末端ページの流入を増やす。
※ただし100ページ未満の小規模サイトはちょっと増やしたほうが良い。

Q.ページを増やさずに流入が増えるには?
A.多くのキーワードでの流入を増やせば良い。
 対策:掛け合わせ流入を増やす仕組みをつくる

掛け合わせ対策用共通文章の作成

(施策)
掛け合わせ検索が発生しそうなキーワードを抽出する
→テキストマイニングツールを使う
→カテゴリごとテンプレートごとに使う。掛け合わせ流入を広げる仕組みの作成。

(参照)
・現状の流入キーワード
・リスティング広告出稿ワード
・サイト内検索ワード
・月間検索数

 
(施策2)
流入LPの数を増やす
→×ページ数を増やす
→◯末端ページのインデックス率を上げる

・末端ページの何ページが検索対象になっているか?
→末端ページの総数と末端ページのインデックス数を調べる

・インデックス数を調査する
→×「site:」で調べる。→ただし正確な数字ではない
→◯末端ページ一覧の用意→info:で調査をする

・(その結果)インデックス率が100%ではなかった
→インデックスされない原因を調べる〜Fetch as Google
→1週間ほど待つ
→インデックスされている場合:内部リンクが問題
→インデックスされていない場合:ページの問題

・ページの問題
→テキストがユニークではない/そもそもテキストがない
末端ページごとに固有の文章を作成。
(例:ファッションページの場合、色/ブランド/発売日などで差別化)
→URLの重複(パラメータなど)
canonicalの制御などインデックスURLの整理

・内部リンクが問題
クローラーが末端ページを上手く辿れていない
→末端ページをリンクでつなぐ
(例:前後リンク)

・末端ページの価値を上げる
→テキストをなるべく丈夫に
→title要素に手をかける
(カテゴリごとに分類して考える)

・スニペットの変更をする
→ドイツでスニペットを消されたケースでCTRが大幅に減った。
→説明文は重要。
→ただしコントロールが難しいこともあるのでdescriptionを「敢えて入れない」というのもひとつの手法

・末端ページSEOは「ないがしろ」にされることが多い。
→テールキーワードは自然に入ってくるものだからなにもしないと考えられるケースが多い。

***
 
・コンテンツのSEOでの技術要件

ふたつのSEO目的コンテンツ
・検索流入を受ける目的
・リンクを受ける目的(←今回はこっち)

・リンク用コンテンツのSEO基本
→流入がほしいページの下層に外部リンクを集める
→リンクが集まるページから上げたいページヘ内部リンク

・上がらないケース
→ドメインが違う
→同一サブドメインにリンク収集コンテンツを配置
→ドメイン・サブドメインの統合

・事例
→ECドメインとブログドメインの統合
→EC:6000、ブログ:600を統合したところ9000程度の流入に。
(検索流入1.5倍)

・ドメイン統合時の効果変数は?
ドメインの持つ被リンクの量
ドメインの持つ検索される情報

(例)
リンク無+検索される情報
+(統合)
リンク無+検索される情報

検索増加なし

ゴミ+ゴミ=ゴミの山

(例2)
リンク無+検索される情報
+(統合)
リンク多+検索される情報

検索増加あり

(例3)
リンク少+検索される情報
+(統合)
リンク多+検索されない情報

検索増加量・最大

結論:コンテンツによる被リンクと検索される情報を同居させる
→検索される情報と被リンクギャップを埋めることを意識

・同一サブドメインにリンク収集コンテンツを配置
→同一サイトにリンク収集コンテンツを配置

(例)
サブディレクトリにリンクが集まっても同一サブドメインに流入が増えないケース
→はてなダイアリー、アメブロなど

・別サイトに認識されないようにする方法
→テンプレート部分を保つ
→リンク構造を保つ:一方通行の「離れ小島」は別サイト認識されるケースが多い
→テーマを保つ:「似たテーマ」にする努力を


・3つを完璧には行いづらい
・可能な範囲で行いトライ&エラー


判断方法
・明確な方法はありません
多くのコンテンツを投下した上でサブドメイン内の関連コンテンツ順位で判断

・リンクとコンテンツ

被リンク:SEO最重要ポイントのひとつ
→企業サイトにとって人工リンクは現実的ではなくなった
→コンテンツで得るリンク=コントロールできない…わけではない
→コントロールするのが技術的アプローチ
→被リンクの効果をコントロールできれば…SEOの成功に大きく貢献

(おわりに)
進化を続ける検索エンジンから安定した集客を続けるために一番大切なこと
ユーザー中心のSEO
→ユーザーが求める情報を出す。進化しきった検索エンジンから集客するにはそれで十分。
→ただし検索エンジンはまだ進化の途上。
→未完成な検索エンジンにわかりやすく伝える方法が技術的なアプローチ。

SEOでの「銀の弾丸」は撃たれることが多い。
「銀の弾丸」が撃たれたままだと本来の価値を発揮できない
→摘出すれば上昇が可能。


 

7.SEOパネルディスカッション いま SEO担当者が注力すべき仕事(伊東周晃/土居健太郎/三澤直哉/渡辺隆広)

・SEOを取り巻く環境が大きく変わった

・この3年間で皆さんのSEOのお仕事の中で一番大きく変わったことは何ですか?

伊「ソーシャルメディアの対応、コンテンツ部分の企画と制作」
土「個別のキーワード相談がほとんど来なくなった。相談いただく内容が変わった」
三「競合を落とすためのリンクを張っている会社があるので、そういったリンクから守る体制に変わった」

(以下質問は3名と、辻さん・日西さんの5名)
・グローバルナビも含めて最近は内部リンクが「効かない」と思う。
◯:1名
✕:4名

土「✕にすると全員「✕」にしそう、という前提で◯にした。昔のように効くということはないが差異をつける分には良いのではないか」

・現在でもstrongタグは意識的に使うべきだと思う。
◯:1名
✕:4名

(小さなサイトの場合は?)
伊「気にすることはない」

・Webページに付けるタイトルはSEOよりもソーシャルメディアを意識した作り方をしている。
◯:0名
✕:5名

(何に注意してタイトルを設置しているか、指示する場合どのように指示するか)
伊「マスターを変更するなどした際にはその変更でどのようにスケールするかを考える」
三「定型化する際にどうやってSEO的な要素を盛り込んでいくかを注意する。効率化の観点と全体適用の観点を考える」
土「基本的にはtitleにきっちり入っている状態、検索に漏れないようにする。ソーシャル向けだとキャッチコピーなどが全面に出がち。ただしブログ記事などではソーシャルを意識することもある」

(OGPは使用するか?)
伊「使う。検索と合わせてチューニングする。半年くらいやった後に変えるなどもする」

・リンク購入は上手く振る舞えばまだまだ効果的だと思う
◯:3名
✕:2名

土「✕にしたが、今、効いたとしてもいつか効かなくなるということなので業界のボトムアップに繋がらなくなる。ただリンクは依然として重要」

・(SEO業務として取り組む)コンテンツで重要なことは「金」だと思う
◯:0名
✕:5名

伊「課題は”打率”を上げていくこと。ただ継続していくことでファンが付いてくる」
三「事業成果にどうつながるかが課題。どういう位置づけでこれをやるのかを上司に説明できるのを証明するのが必要。あとはネタをどう探してくるのか。バズらないということも多々ある」

(コンテンツに取り組めばいいといっても何を持って「貢献した」と言うのか?)
土「最初の半年は何も考えない方がいいと伝える。フォーマットが整っている上で進めば効果は付いてくる。わかりやすいところで言うと検索トラフィック・リンク・検索キーワードが指標になる」
伊「最初のタイミングで小さな成功を作ること。寄与したキーワード群などを見て成果として効果測定する」

・コンテンツは社外より社内で作るべきだと思う
◯:5名
✕:0名

伊「企画含めて社外に丸投げとなると効率が悪い。社内で作れる体制は重要。要件を決めて社内・社外を使い分ける。社内で作った方が『自分ごと』として担当者が捉えやすい」

・httpsへの導入を一年以内の対応を検討している
◯:2名
✕:3名

伊「新規のものはhttpsでいく。既存のサービスはURL変更が伴なうので今のところ直近で実施しない。ただし大規模なリニューアルの意思決定をした時には修正するように考えている」
土「自分たちのサービスではやらない。お客様には壮大なベネフィットを与えられるということでない限りはすぐやるということはない」
三「新規サービスはやる」

・構造化データには積極的に取り組んでいる
◯:1名
✕:4名

三「積極的に情報を取りに行くという意味で◯をつけた。サイト全体というよりもトライアル的な感覚で実施」
伊「ベネフィットが検証できるものに関しては実施していく。今積極的でないのではコンテンツが重要と考えるから。フォーマットは本質ではない」
三「検索ユーザーに対してのベネフィットはあるのか?」
渡「構造化データは技術の方を向いていて、検索ユーザーの方を向いていない。新しいもの好きの人には勧める」

・2015年、ズバリみなさんSEOのどこに注力していきたいですか?
三「コンテンツの編集企画スキルを身につけていきたい。全国のエリアに特定しないサービスが多いので、各エリアでどういう検索をするのかを知る仕組みがほしい。SEOの組織をどうやって作っていくか」
土「どういうジャンル・規模であろうとソリューションとして提供できるところは2014年と変わらないのではないか。個人的にはスマートフォンの要件などを注力したい」
伊「今までCVに近いところに比重の置き方が大きかった。ただ『飯テロ』のようなお店を探していない瞬間での接点を開始できるようなケースにもチャンスがあるのではないかと感じているのでプラスアルファの施策を考えていきたい」


 

8.クロージングセッション(渡辺隆広)

・Webページの処理からデータの処理へ
昔はドキュメントの処理だけだった。

・キーワードから文脈、そして予測へ
昔は文字列単位でしか検索できなかった。

今は「あの情報が探したかったんだけど」の時にGoogleが提示してくれるという進化も。

・テクニックから戦略へ
SE Optimizer/Automatic doorway generatorなどのツール/InfoseekのSEO対策
→その後にGoogleが出てきて、パンダが来て…という流れ。
→テクニック的なものが通用しにくくなってきている。
→長期的な視点を持つことが重要


この先どうなっていくのかを考える

検索技術が向かう先は?

・自然な手順、コミュニケーション
・当然の発想
・人間的な評価、意思決定
・現実世界で当たり前のモノゴト

検索の未来とSEM

・人間の情報探索要求は減らない。むしろ増える。
・「欲しい情報を適切なタイミングに適切な方法で届ける」検索の本質は不変。
・「当たり前」の相対的重要性はますます高まる。

デジタルネイティブ
→検索エンジンでGoogle/Yahoo!のどちらを使っているかの質問が通じないこともある。
(何を使っているのか意識しない)


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