2014/8/16開催のCSS Nite LP37「選ばれるECサイト」に参加してきました。
CSS NiteはSEO以外のものに参加するのは初めてだったのですがすごく面白かったです。
というわけで、まとめました。
1.ECサイトのゴールデン・サークル/鷹野 雅弘
ECサイト…買うものが決まっている場合と、迷っている場合に分かれる
■買うものが決まっている場合
→安く買いたい
・送料は買うものの価格によって感覚値が変わる
(500円のものに800円の送料、5000円のものに800円の送料)
・早く着くというところに時代がいく
Amazon Prime Air
ヨドバシの店舗受け取り(梅田・秋葉原については24時間受け取り)
選べる配送業者(配送業者にまつわるトラブルが多いケースがあるので)
■買うものに迷っている場合
「実際にその商品はどうなの?」
・Incaseの事例
Incase ICON Pack – The Best Backpack We’ve Ever Made
→そのバッグにどんな感じで物が入るのかを動画で紹介
・Assist On「Jimi」の事例
JIMI USB Port Extension | AssistOn
→ケーススタディ・写真などを盛り込んでいる。「古いタイプのものだとぐらつく」などユーザーの考える事を先読みして書く
ECサイトの「why」はどこにあるのか
なぜそのショップで買わなくてはいけないのか。
2.セレクトショップ型ECサイト運営の裏側みせます/神森 勉
OneMe Store
http://www.oneme.jp/
最初は鳴かず飛ばずだったものの最近伸びを見せる
・OneMe Storeについて
メンバーは3人で構成
ガジェット専門のfancyを目指す(参照:Fancy 自分で投稿して販売する)
日本では入手困難なガジェットを取り扱う
写真レビューにこだわる
ターゲット:30〜50代男性のガジェット大好き層
・壁
国内規制対応(海外のものを扱う際の各種法律があって制限がかかる)
↓
・新コンセプト
Made in Japan Project
「私」にとってのひとつを見つけてもらう
ものづくり支援
・サイトのデザイン
全員が「クールでカッコイイ」を想像するがそれだと噛み合わない
・システム選定方法
完全オリジナル
オープンソース
有料EC
ASPサービス
大手モール
・運用
広告予算ほとんどなし
facebookページ運用
↓
オープン3ヶ月でリピーター減少、新規ユーザー減少となり売上につながらない。
しかし、そんな中でも売れ筋商品がある。
国内取扱が少ないもの(2店舗しか扱っていない)
オリジナル商品
他の店舗で売り切れ続出のもの
→「ここでしか買えないもの」を買う
ただし「売れ筋商品」を探すのは難しいのでリピーター施策を取る
ユーザーイベント(直接商品を触ってもらう)
メールマガジン
個別フォロー
クーポン配布
コンテンツ強化(スタッフブログなどで、サイトで伝えられないもの、メルマガランディング先としてのコンテンツなど)
↓
外部からのレビューがありそこから売り上げる
↓
お客様がついてくる(他のShopで売っているものも売れている)
・他店舗出店について
あまりやりたくなかったもののカード決済などOneMe Storeで出来ないことを補うことができる
(まとめ)
ファンを作りファンが人を読んでくることをやり続ける
コンテンツ施策はスタートこそ大事(数ヶ月〜半年で効果)
ECシステム・サービスは共存可能(不足しているものを補完する)
3.いま取り組むべきECサイトのSEO/辻 正浩
Googleの進化
→algorooのデータを見ていると変化はどんどん激しくなっている
algoroo
(事例紹介)新しいアルゴリズム
検索結果はWebページのランキングではないこともある
1ページ以内のドメインを削除するコマンドを使っても11位で固定されるサイトがある。
→まだ未発表のアルゴリズム。
11歳のまま、成長が止まってしまった悲劇の子供の名前から「カツオアルゴリズム」と命名
詳細
11位に潜むSEOの注目現象、カツオアルゴリズムとは?! | hinishi.com
普通は気付きづらい新アルゴリズムがどんどん実装されていて実際の検索結果も大きく変化している。
「グルメ」
2012年12月は上位8つがSEOを意識した大手サイトのみが上位になっている
2014年8月はSEOを意識していないサイトも上位にある
↓
「どうして?」
→わかりません
**
ECサイトが対応する方法は?
1.変わらない基本をおさえる
・title要素の工夫
競合しがちな検索結果で自社が選ばれる分岐点
28文字以内に含める
(以前と比べて)先頭配置の重要性が薄れる
可能な限り字数ギリギリで長くする
自社の「売り」をしっかりと表示する
→良いタイトルは真似られる可能性があるので順位安定後は上下のサイトを見て優位性を出す。訴求ポイントを抑える。
改善を繰り返すこと(A/Bテスト)で理想の状態を維持する。
※注意点:変更後順位が不安定になることもある。
・より幅広く顧客候補を招くテールキーワードの柱になるテキストを記述する
良い場所に配置する
可能な限りレイアウト上部
可能な限りhtmlソース上部
→訪問ユーザーが読みやすい場所
適切な商品ページテキスト
ユーザーの悩みの声
この商品が解決する悩み
→具体的に書くこと。
例)片思いで悩んだら:メール術から告白の方法まで1394記事 | nanapi [ナナピ]
商品一覧ページのSEOについては「CSS Nite LP29」で過去に講演。
2.進化し続けるGoogleに対応する方法
・Googleの進化よりも早く対応する
→難易度が非常に高くなっている
・Googleの方向性に合わせたWebサイトを展開する
→Googleの方向性を把握し続ける。
「多くの人間が評価するページを評価したい」というのがGoogleの意図
「多くの人間が評価する」「検索エンジンが評価する」という2者が近付いてきた
→本当に役立つページが評価されやすくなった。
リンクがなくてもどうにかなることがある。
あなたのECサイトの「売り」は? 他には負けない部分を訴える。
例)商品知識、スタッフの魅力、特定ジャンルの品揃え、サポートの細やかさ
→これらを検索エンジン「にも」分かるようにする。情報テキストとして量と質を出すこと。
他ショップに勝るものがない場合
→作る。ないままで検索結果で勝つのは難しい。
確実に伝えるには?
→日本一を目指す。
検索結果1位=世界一
例)
日本一のカニEC
↓
カニの捌き方が日本一
↓
毛ガニの捌き方が日本一
↓
毛ガニの爪肉の取り出し方が日本一
「狭いジャンル」からでも1位になること
(行っていただきたいこと)
SEOの基本を知った上で人間が見て1位のページを狭い領域から作る
(よく言われること)
SEOの専門家がやることがなくなっているのでは?
→むしろ増えている。Googleの進化に合わせて増える。
SEOはテクニック論ではなく広い意味でのユーザー最適化
4.「選ばれる理由」、本当にありますか?/権 成俊
「近江牛.com」のリニューアル
・キービジュアルどちらがいいか?
A.ギフトパッケージ
B.すき焼き
→Aの方が競合と差別化
成果:半年で130%増
・何故「A.ギフトパッケージ」にしたか?
→「ギフト購入者」をターゲットにしたため
・ターゲットの絞り込み
検索市場規模
ユーザーモデルを絞る
肉ギフトに力を入れている競合が少ない
→ギフトユーザーに伸びしろがあるのでは?
・付加価値
「おいしい」
「受賞実績がある」
+「贈り先に喜んでいただきたい」
→「ギフトパッケージがきれい」(ギフトユーザーはギフトに相応しいパッケージを求めている)
・戦略
ユーザーを絞るとサイトも絞れる
ナビゲーションなどで自宅用・ギフト用で分ける(画像を変える)
・一気通貫したサイト制作
ユーザーモデル/KW/メッセージ/コンテンツ/商品サービス開発
・戦略がなかったら・・・
戦略立案は誰の仕事?
戦略なくしてウェブサイトなし
戦略不在のウェブサイト制作案件
→その時は? あなたが戦略を立てよう。戦略を立てることで仕事はもっと素晴らしいものになる。
5.スマートデバイスにおける、ECサイトのあり方/たにぐち まこと
・流入経路
PC時代:URL直打ち→検索サイト
ガラケー時代:公式サイト→QRコード
スマホ時代:検索サイト→ソーシャルメディア(+スマートニュース、グノシーなど)
・ソーシャルメディア
ソーシャルの標準ウィジェット(twitter/facebookボタン)
静的リンク(通常のリンクを設置する)
標準ウィジェットだとロード時間がかかることがあるため静的リンクで解消する。
参照:静的リンクを作りやすくなるツール
Simple Sharing Buttons Generator by @fourtonfish
・スマホ向けのサイトシェア
→URLがスマホ向けになっているものがある(/sp/など)
振り分け設定ができていれば適切なURLに遷移できるができていない場合PCでスマホのサイトを閲覧することになるケースがある。
・スマホ誘導
ソーシャルから再び検索に戻るのでは?
特に高齢者などがソーシャルメディアを使うことは考えづらい。
→Googleの音声検索などを使うようになるのではないか
・スマホサイトのゴール
ECサイトの場合、会員登録や購買
・利用者の利便性を考える
外でスマホを使っているケースだと決済まで行きつきにくい
→注文窓口を増やす(無理にインターネットで決済しない)
電話
店舗受け取り
閲覧履歴の保持
ほしいものリスト(Amazonなど「ちょっと取っておく」機能)
・決済の方法
キャリア決済を利用する
ネットバンクの利用
PayPalなどの決済代行
モールなどの利用
・スマホサイトのデザイン
RWD(レスポンシブウェブデザイン)
専用サイト(楽天など)
スマホサイトなし(Apple)
専用サイトの強み
PCサイトと分けて戦略を立てられる
使い方の違いを吸収できる
スマホサイトを軽くできる
PCサイトとの共存方法
PCサイトのみしか対応していないページの場合、PCマークを付ける
PCサイトへの誘導
表示モード「モバイル:PC」の切り分け
デザインガイドライン
Appleのアプリ向けのものは読んでおくべし
・電話番号へのリンク
×画像になっていてかつクリック出来ない場合→非常に使いにくい
・テキストでteltoリンクを使用して書く
・画像にteltoリンク→NGではないがLINEなど格安電話サービスなどではコピペが出来ないため不便
推奨:テキスト+画像
00-0000-0000 [電話する]
・スマホサイトの確認
ウェブブラウザ(Chromeのエミュレーター)
シミュレーター(iOSシミュレーターなど)
実機確認(レンタルサービス、リモートでAppKitBoxなど)
6.ECサイトのメールマガジン10の法則/益子 貴寛
・ECサイトにおけるメールの大切さ。お客様は何故「二度」買わないのか
×商品 ×価格 ×接客
◯ただ忘れているだけ
→思い出してもらうためにメルマガを活用する。顧客との接点としてメルマガは圧倒的。
(再訪問購入支援、実店舗集客支援、ソーシャル支援。webサイトの不備を乗り越えられる)
※htmlメールの注意点
Gmailだとテキストメールはメインに分類される傾向、htmlメールはプロモーションに分類される傾向がある
htmlメールが非表示になってしまう可能性
■10の法則
1.顧客の生活サイクルに合わせて配信する
曜日別・時間別の訪問とCVのピーク(ピークのちょっと前に送る)
生活上の行事やイベントの基づくものは早めに
例外)
レジャースポットなどは金曜日の夜でも案外さばける
屋内型の施設は曇りの日とか
2.キャンペーン期限は前日までにお知らせ
誰も損しない場合は当日もあり
3.タイトルは店名より商品をアピールする
「◯◯通信 Vol.356」→何回目かは顧客にとってはどうでもいい情報
店名は送信元に記載されるのでタイトルに入れないのがポイント
4.タイトルでは割引・限定・数字を明確に
5.ヘッダーは短く、本文を早く始める
6.記号はほどほどに
読み手とのテンションが違う
7.顧客に役立つ「豆知識」を盛り込む
8.配信停止の方法は分かりやすく
停止を希望する人はエンゲージメントがかなり弱まっている
9.必要に応じて配信先をセグメントする
お取り寄せ(自宅用)なのかギフト(贈答用)なのか
10.効果測定は簡単かつ確実に
開封率ではなく解約率に注目するのも手
7.ECサイトで「もう一度、購入したい!」と思ってもらうための戦略と分析事例/小川 卓
・コンバージョン率の比較
→リピーターの方が購入・売上が上がる。既存顧客の方が獲得コストが安い。
売上=訪問×CV率×単価
→この方法ではユーザーが見えない
→ユーザーを分類してコミュニケーションの取り方を考える
→分類して商品の提案方法を変える
↓
売上=sum(ユーザー分類別の売上)
・分類から可視化へ
分類別の数値を把握する
・分類の注意点
計測できる分類にする
全体の5%(できれば10%以上)の割合にする
施策が打てる(ターゲティング可能にする)
・可視化からターゲット決め
施策の優先順位決め:悪いものを普通にする方が簡単
1.改善ボリューム(差×改善率)
2.施策の種類数
3.施策の難易度
・施策と改善事例
リピーター獲得施策
Eメール
SNS
スマホアプリ(ブラウザより起動率が高い)
割引による継続利用
購入継続のための施策
リピートに繋がる獲得
期間限定の割引施策
リピート訪問のための機能
再入荷お知らせメール
購入以外のスコア獲得(ポイントなど)
・メルマガを通じた改善事例
CV高いメルマガ低いメルマガを分析
→気付き
テキスト>html
商品羅列<商品+説明+リンク
メルマガ最後に商品リンクが良い
件名内容には特徴なし
・集客vsリピートではない
立ち上げ時は集客しか出来ない
集客は一気に売上を伸ばすことが可能
新規流入は新しい気付きになる
既存顧客は必ず減っていく
→集客withリピート、が大切
近江商人の商売十訓を考える
近江商人の商売十訓
まとめ
SEOに興味があったので参加したわけですが、それ以外の部分もかなり面白く、定期的にこういったイベントに参加しなくてはと感じました。
特に自分とちょっと違ったジャンルになると知識がなかなか入ってこないので勉強になりますね。
常に「自分のジャンルだったらどう活かせるのか?」を考えてみると視界が変わって面白いものです。
またぜひとも参加したいと思います。
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